株価の動向を分析するために、「移動平均線」と「モメンタム」は非常に広く使われているテクニカル分析の手法です。それぞれの指標は異なる角度から市場のトレンドや勢いを捉えることができます。以下で、両者の基本的な仕組みと、それらを組み合わせた分析方法について説明します。
1. 移動平均線(Moving Average)
概要:
移動平均線は、過去の一定期間の株価(通常は終値)の平均を算出して線としてプロットしたものです。株価のトレンド(上昇傾向か下降傾向か)を視覚的に把握するために使います。
種類:
単純移動平均線(SMA):一定期間の株価の単純な平均。
指数平滑移動平均線(EMA):直近の価格により重みを置く平均。
よく使われる期間:
短期:5日、10日
中期:25日、50日
長期:100日、200日
解釈例:
株価が移動平均線の上にある → 上昇トレンドの可能性
ゴールデンクロス(短期線が長期線を上抜け) → 買いサイン
デッドクロス(短期線が長期線を下抜け) → 売りサイン
2. モメンタム(Momentum)
概要:
モメンタムは、株価の「勢い」を表す指標です。通常は「現在の株価」と「過去の株価(たとえば10日前)」との差を算出し、どの程度価格が変動しているかを測定します。
計算例:
解釈例:
モメンタムがプラス → 上昇の勢いあり
モメンタムがマイナス → 下落の勢いあり
モメンタムがピークをつけて減少 → 価格の反転サインになることも
3. 組み合わせた分析方法
応用:
移動平均線でトレンドを判断し、モメンタムでそのトレンドの「勢い」を確認します。例えば:
買いのシナリオ:
株価が移動平均線を上抜け(上昇トレンドの始まり)
モメンタムがプラスで上昇傾向(勢いも伴っている)
売りのシナリオ:
株価が移動平均線を下抜け(下降トレンドの始まり)
モメンタムがマイナスでさらに悪化(下落の勢い)
このように、トレンドの方向性(移動平均線)とその強さ(モメンタム)を組み合わせることで、より信頼性の高い判断を下すことができます。
注意点
テクニカル指標は過去のデータに基づいているため、未来の価格を「予測」するものではなく、「傾向を把握」するための道具。
他の指標(RSI、MACD、ボリンジャーバンドなど)と併用することで精度が高まります。
ニュースやファンダメンタルズ分析(企業業績など)も無視せず、総合的な判断が重要です。